2018.07.30

レポート

南部真知子さんへインタビュー〜自分のしたいことが、本当に仕事になるの?〜【Co-STUDY KOBE新聞】文・佐比内優太

南部真知子さんへインタビュー〜自分のしたいことが、本当に仕事になるの?〜【Co-STUDY KOBE新聞】文・佐比内優太

〜全ては恩返しから〜

 

Q1. 南部さんが、今ご自分のしたいことをお仕事としてできているのは、どうしてでしょうか?

 

私の場合、大学卒業後、もともと兵庫県庁に勤めていたのですが、育児に専念するために兵庫県庁を退職しました。自分の子供がすくすく育って行く姿を見るのが本当に幸せだったのです。そんな中、あの「阪神・淡路大震災」が起こり、私の人生観が大きく変わりました。震災を経験し、毎日いつ自分が死んでもおかしくないのだということに気付き、とてつもない恐怖に襲われました。その後、震災の復旧作業が行われていく中で、私自身もいろんな人に助けられました。そこ中で、今こうしていただいているご恩を、これから世の中に返していきたいと思うようになったのです。

 

神戸ハーバー・サーカスや、観光遊覧船「コンチェルト」の仕事を依頼された時は、もちろん今までやったことのないお仕事でしたが、ここで断ってしまうと、これから出会う人とのつながりを自ら切ってしまうことになると感じ、このままではいけないと思い、お仕事を引き受けました。震災を通して、生きる意味というのは人との出会いにあると感じ、オファーを断る選択肢はありませんでした。今思えば、もし震災がなければ、オファーを断っていたかもしれません。

 

そうしてお仕事をするうちに、様々な学びや気付きを得られたのです。「いつ死んでも惜しくないように」。その想いが私を駆り立てたのです。生き残ったからには、世のため人のために頑張りたいと思いました。その後も、人生の転機は好機だと捉え、様々な事業に取り組んできました。人の役に立ちたい、恩返しをしたいという思いが、私の全ての原動力となっているのです。

 

 

〜理想通りの人なんていない〜

 

Q2. 最近よく学生に、「自分のしたいことを頑張っていれば、それが仕事になるし、自分がしたいことをできるようになるよ」というご意見をよく耳にします。しかしながら、実際に学生の立場からすると、それはそのようなお仕事を成功されている方の結果論でしかないし、自分には関係のないことだと感じたり、あるいは、自分1人の力はそんなに大きくないし、したいことをするよりも、アルバイトでお金を稼がなければならなかったりして、現実的にそんなことはできないと思う学生が多いと思うのですが、本当に今の学生が自分のしたいことを仕事にすることができると思いますか?

 

私は、できると思います。今の日本は売り手市場なので、むしろ働き口もたくさんあって、ラッキーなのではないでしょうか。去年か一昨年にイタリアへ行ったのですが、そこで、イタリアの就職率は約25%ということを知りました。また、韓国でも就職率はかなり厳しいものとなっております。そうした国に比べて、日本はむしろ人が欲しい状況なので、とても良い環境でしょう。

 

最初から自分の好きなこと、やりたいことをして生きていける人はごく稀です。

大抵の場合は、それほど興味の惹かれないことをしないといけないのです。しかし、それも何かのご縁だと思って、しばらくの間一生懸命取り組んでいると、必ず何か見えて来るものがあります。任されたお仕事をとにかく頑張る。そうすれば自然と周りから評価され、信頼されます。このサイクルを続けていれば、いつか自分が本当にしたいこともできるようになるでしょう。

 

まずはご縁があったところから、一生懸命頑張るのが大切なのです。格好良くないかもしれませんが、それが一番現実的なのです。そうしていると、はじめはあまり興味がないことでも、新たな発見や気付きも生まれます。私も、まさか自分が船に関するお仕事をするとは、夢にも思っていませんでした。しかし、これも何かのご縁だと思い、一生懸命頑張りました。会社にはたくさんの従業員がいて、お給料を払わないといけません。分からないことだらけでしたが、ずっと考えて、悩み続けました。そうしているうちに、様々な思いがけないことに気付きました。夢を叶える方法は一つではないのです。私の娘の話になりますが、実は学生の時にブラジルへ1人で行ったのです。その時に、娘の安全確保のために、ブラジル協会へも何度も足を運びました。こうしたことも全てご縁なのです。その結果、今はブラジル協会の理事長をしています。娘がお世話になったので、何か恩返しをしたいと思い、就任しました。

 

学生さんには、自分の興味・関心があるなしに関わらず、是非たくさんの経験を積んでもらいたいです。そうすることで、自分の中のチャンネルを増やさなければなりません。明日しようと思うのではなく、できればその日のうちに行動するのが良いでしょう。自分の五感で様々なことを感じ、常に好奇心・幼心を忘れずに、感受性を豊かにしなければいけません。その中で、時には失敗もあるかもしれませんが、それはその時に教訓として学べば良いだけのことです。そうして、自分の知らないこと、未知のことにチャレンジし続けると、自分の中のチャンネルが増えていくのです。いつも自分を磨いていかなければなりません。日本のことから世界のこと、ミクロなことからマクロなことまで、様々なことを学び続けなければいけないのです。それが仕事人としても、ブラッシュアップしていくことにもなります。また、こうしたことは、後になって自分を助けることが非常に多いのです。お仕事のつながりでも、新しいことをしようとした時に、昔お世話になった人にまた助けていただけるなど、あの時ご縁があって良かったと、とても助かることがあります。今みなさんはこのようにして様々なネットワークを張り巡らせ、ご縁を繋いでいくことがとても大切なのです。

 

 

〜仕事とは、他人を思いやる心で〜

 

Q3. 南部さんにとって、お仕事とはどのようなものなのでしょうか?

 

仕事とは、人と人とのつながりのことなのです。相手が何を望んでいるか、それを理解し、実行する能力が欠かせません。それが仕事を遂行する能力であり、「人間力」でもあります。人と良い関係をどう構築していくかが、仕事ができるできないや、お仕事の幅にも関わってきます。そうして、様々なお仕事をしているうちに、徐々にしたいことが見えてきます。はじめは嫌なことでも、とりあえず全力でやってみるのが良いでしょう。

 

また、自分がして欲しいように、相手と接するのが良いでしょう。相手が何を求めているのか、忖度が必要なのです。もともと、日本人は狩猟民ではなく農作民であり、田畑を耕してきました。農作物を、思いやりを持って育ててきました。作物や土と「お話」をし、足りないものや必要なものは何かを常に考えてきたのです。このように、日本人にはもともと、物言わぬものの声を聞いて仕事をしてきたのであり、つまりは他人を思いやる潜在力があるのです。これは仕事人としてものすごく大事な点であり、みなさんは素晴らしい長所を持っているのです。今、忖度という言葉が流行っていますが、忖度とはもともと「想像する」ことなのです。こうした忖度は、必ず仕事で必要になってきます。例えば、接客業において、忖度は必要です。お客様の飲み物が無いのに気付かずに、お客様を待たせたりしてはいけないのです。常にお客様の気持ちを想像して、行動しなければなりません。全ての仕事の根源は、他人を思いやる想像力なのです。

佐比内優太

現在神戸大学4年の佐比内優太です!

普段僕がどんな活動をしているのかなどを紹介している、「MY NAME IS …」というサイトを開設しました!!!是非チェックしてみてください^^

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